庭野会長は10月9日午前、カンボジアの首都プノンペンで開催された「カンボジア国立仏教研究所 第2期工事落成式」に列席し、祝辞を述べました。ポル・ポト政権(1975年から1979年)の弾圧により壊滅的な打撃を受けたカンボジアの仏教界にとって、同研究所再建は、仏教復興のシンボルと位置づけられています。立正佼成会は、1995年以降、カンボジア宗教省、SVA(シャンティ国際ボランティア会)の要請を受け、本会一食平和基金から延べ1億2400万円の建設費を支援。1998年の「第1期落成」を経て、この日、カンボジア国立仏教研究所の再建が完了しました。
カンボジアでは、仏教が国教であり、約90%の国民が仏教徒です。社会の相互扶助システムは、仏教寺院を中心にして成り立っています。
その仏教国が、ポル・ポト政権によって一時完全に破壊されました。約6万人いた僧侶は、強制労働や虐殺により、約3000人に激減しました。仏教書も99%が焼き捨てられました。1921年から仏教研究の拠点となっていたカンボジア国立仏教研究所も消滅しました。
ポル・ポト政権崩壊後、内戦を経て、同国はようやく国家再興への道を歩み始めました。国家再興は即仏教の再興を意味します。カンボジア国立仏教研究所の再建は、そのシンボルとして工事が進められてきました。
1998年の「第1期落成」では、研究所の本施設が完成。第2期工事では、外塀、印刷室、印刷機器、図書閲覧室、浄水設備、空調設備、警備員室、駐車場などが整えられたほか、他国へ売られた蔵書の買戻しも行われました。
同時に、SVA、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会、本会が協力して、仏教経典、一般書籍などクメール語書籍の復刻が、総額1億円を超える支援によって進められました。そして念願の「第2期工事落成式」を迎えました。
「落成式」は、研究所前の特設会場で行われました。テレビ局、新聞、雑誌など20人を超えるマスコミ関係者の姿が、研究所落成に対する国民の関心の深さをうかがわせました。
僧侶による祝福の読経、建設副委員長を務めたチョン・イエム宗教省次官のスピーチに次いで、グオン・ヴァン・チャン・ティー同研究所所長があいさつ。同所長は、「この事業は、われわれの歴史に残る出来事です。立正佼成会は、カンボジア国民、仏教徒がもっとも困難な状況にある中で貴重な支援をくださいました。宗教省及び仏教研究所は、立正佼成会に忘れてはならない恩があることを表明します」と語った。
続いて同仏教研究所の再建を現地でコーディネートするなど重要な役割を果たしてきたSVAの松永然道会長がスピーチ。本会の支援にも触れ、「この事業は、今は亡き開祖庭野日敬先生の卆寿記念として支援を頂いたものであり、立正佼成会の皆さまが世界平和を願い、その実現に向かって活発な活動を続けてきたことの賜物であると思います」と述べました。
このあと庭野会長がスピーチに立ち、「カンボジアの皆さまが、過去の不幸な歴史を乗り越え、仏教の復興のために努力されている姿には深く胸を打たれるものがあります。カンボジア仏教研究所の復興は、いわば皆さまのそうした強い願いによって成し遂げられたものであり、微力ながら、そのお手伝いをさせて頂けたことは、本会にとって何よりも光栄」と参集者に語りかけました。
政府を代表して出席したソー・ケン副首相は、「この建物は、一つの国家におけるモラルと品格の復活を意味しています。また立正佼成会と仏教研究所の深い交友を反映したものであり、日本とカンボジアの永遠の友好を結ぶものでもあります」と位置づけました式典では、続いてソー・ケン副首相が、庭野会長、松永SVA会長、研究所関係者にメダルを授与。テープカット、落成を記念した署名なども行われました。
(2002.10.16記載)
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