「佼成文書館」がこのほど、佼成図書館内に設立されました。そのオープニングセレモニーを兼ねた「報告会」が4月2日、庭野日鑛会長臨席のもと同図書館視聴覚ホールで行われました。当日は、山野井克典理事長はじめ教団役職者、来賓ら50人が出席。『宗教文書館としての佼成文書館の設立に寄せて』をテーマに学習院大学講師で、元藤沢市文書館館長の高野修氏が講演しました。
文書館とは、オリジナルの記録史料を永久的に保存、利用していく資料管理組織のことです。佼成文書館は、庭野日敬開祖や長沼妙佼脇祖、庭野日鑛会長の法話など本会の教え、創立からの活動の記録を永続的に保存し、後世に正しく伝えていくことを目的に設立されました。
同文書館の設立は、第7次教団運営基本計画(平成5年から9年)で『佼成会史・資料の集成答申書――佼成文書館設立に向けて』がまとめられたことに始まります。これを受け、平成9年、中央学術研究所内に同文書館設置準備室を置き、翌年には、本部資料課(当時)の機能の一部を統合して同文書館設立準備室が発足しました。資料収集と共に、文書館の専門家「アーキビスト」を養成するなど準備が進められてきました。
報告会では、山崎泰史・同館長の設立経過報告のあと、高野氏による講演が行われました。同氏は、近世まで、日本の寺社が積極的に文献を保存してきたこと、ヨーロッパのカトリック教会やチベット仏教には文書館が存在することを語り、教えや各時代の様子を正確に伝えることができる記録保存の重要性と文書館の役割を説明しました。
その上で、本会が庭野開祖の法話や教団活動の記録、会員の体験説法などを保存してきたことに触れ、「立正佼成会は庭野開祖と信徒の歴史を意識的に保存し、大切にされてきました。教団としての"記憶"を失うことなく、それを土台としてきたことが、今日の発展につながったのだと思います。記録保存の重要性がそこにあります。今後、何らかの問題が生じたとき、この文書館の扉を開いて頂ければ、解決の糸口が見つかるはずです」と述べました。
続いて、庭野会長があいさつに立ち、「人間の記憶はあいまいなものです。記憶だけに頼っていては、65年という短い教団の歴史であっても、違いが生じることがあります。記録に残しておくことの大事さをあらためて認識しました」と語りました。
(2003.04.11記載)
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