パレスチナ自治政府でアラファト議長の宗教顧問を務めるシェイフ・タラル・シデル師を迎え、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催による懇談会が8月2日、事務庁舎で行われました。本会から山野井克典理事長が出席しました。シデル師は、2002年1月にエジプト・アレクサンドリアで開催されたユダヤ、キリスト、イスラームの3宗教の指導者による「中東宗教指導者会議」(ジョージ・ケアリー英国国教会カンタベリー大主教が企画し、WCRP国際委員会が後援)にパレスチナの代表として参加するなど、中東和平に尽力しています。今回の来日は世界連邦日本宗教委員会の招聘で実現しました。
懇談会には、世界連邦日本宗教委員会から中田千朗運営委員、神藤燿師、日本ムスリム協会の樋口美作名誉会長、徳増公明会長、小関微笑子事務局、WCRP日本委から杉谷義純事務総長、眞田芳憲・同平和研究所副所長、本会の篠崎友伸理事、松原通雄外務部長、今井克昌・中央学術研究所所長など17人が出席しました。
シデル師はパレスチナ自治政府で青年スポーツ大臣、自治大臣などの要職を歴任し、2002年からはアラファト議長の宗教顧問を務めています。
懇談では、杉谷WCRP日本委事務総長のあいさつに続き、シデル師が現地報告。聖地エルサレムのユダヤ、キリスト、イスラーム3宗教の指導者が一堂に会した「中東宗教指導者会議」の歴史的な意義に言及し、「多くの障害を乗り越え、胸襟を開いて話し合い、『アレクサンドリア宣言』の合意に至ったことは、画期的である」と語りました。また、「神の名において無辜の人々を殺害することは、神の聖なる御名を汚すものである」と武力行使やテロを否定した同宣言が、米欧による新中東和平案「ロードマップ」の下敷きとなったと解説。さらに、同会議後、3宗教の指導者による常設の合同委員会が設けられ、継続して和平に向けた討議がなされていることを報告しました。
このあと、質疑応答で、シデル師は、中東和平に向けた日本の宗教者の役割に触れ、「宗教界の尽力に対して政治家は理解が浅い。国際世論を形成する上で、ぜひパートナーとしてご協力頂きたい。また、和平合意がなされたのちには、経済的な問題を含めてさまざまな支援が必要となる。このことを心に留めておいてください」と語りました。
最後に、山野井理事長が「宗教対話を推進し、多くの人たちと世界平和に貢献する道を見いだしていきたい」とあいさつしました。
(2003.08.08記載)
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