ドイツのアーヘン市で9月7日から開催されていた、聖エジディオ共同体とアーヘン・カトリック教区との共催による「世界宗教者平和のための祈りの集い」が9日、2003年度の「平和アピール」を採択して幕を閉じました。世界の50カ国から約600人の諸宗教指導者、専門家や市民指導者たちが参加。立正佼成会から篠崎友伸・時務部長を団長に7人が出席しました。会期中、『祈りは平和の源泉』と題するパネルディスカッションで篠崎部長が仏教の祈りについて発題しました。
アーヘン市内では2日間にわたり、30を超えるパネルディスカッションが開かれました。テーマは『宗教の自己反省』『宗教と環境』『イスラエルとパレスチナ/未来へ向けての対話』『戦争と平和の枠内でのイラク』『エイズの問題』など多岐にわたりました。
『祈りは平和の源泉』と題するパネルで、篠崎部長は、「仏教における理想の境地としての完全自由自在、涅槃とは、調和であり、平和である」とし、祈りは仏教において、仏の大願成就のための「願」であると解説。「他者への暴力は自己への暴力であるという縁起の世界観への確信に満ちた信仰に根ざす」のが仏教の祈りであると述べました。
また、日本から参加した杉谷義純・WCRP(世界諸宗教平和会議)日本委員会事務総長は『ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の即位25周年』と題するパネルでスピーチ。「教皇は即位されて25年間、テロでの負傷も乗り越え、全世界を駆け巡り、平和の人、対話の人、宗教の人として、人類の幸福のために献身的な働きをしてこられました。そして今や、諸宗教の対話と協力は、カトリック教会の揺るぎない方針であり、世界の宗教史の必然であることを証明されたといっても過言ではない」と述べ、教皇の尽力を賞賛しました。
9日、アーヘン市内の各地で宗教別の祈りが行われたあと、同市の中心広場で閉会式典が催されました。
席上、世界各国の政府に送付される「平和アピール」が採択されました。アピールでは、「平和が神の名」であり、「対決を好むかのように見える世界にあって、より困難な道である対話を再選択していく」との、参集した諸宗教指導者たちの決意が表明されています。また、「文明の衝突という悲観主義から自由になるように」と主張。「原理主義はすべての宗教と文化の幼稚なる病」であると定義し、「未だに、神の名によって殺し、テロを蔓延させ、戦争を起こす者」に対して「暴力は皆の敗北である」と訴えています。そして「われわれは一致して、神に平和を深く祈った」と、宗教・宗派を超えた祈りの力を強調しました。
聖エジディオ共同体のアンドレア・リカルディ会長は、来年の集会を「イタリアのミラノ市で開催する」と公表しました。
(2003.09.19記載)
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