第18回庭野平和賞受賞者のエリアス・チャコール師がイスラエルのガリラヤで運営する「マー・エリアス学園」にこのほど、「マー・エリアス大学」が新設され、大学の講堂は「庭野平和講堂」と名付けられました。建設資金の一部には同平和賞の副賞2000万円があてられました。同大学は今年、イスラエル政府の認可を受け、10月21日に開校しました。
チャコール師はイスラエルのパレスチナ人でカトリック・メルキト派の神父。このほど、エルサレムの司教に選出されました。
1982年、チャコール師は「マー・エリアス学園」の前身となる高等学校を創設しました。民族や宗教の相違にかかわらず、あらゆる人々に門戸を開放。相互理解の場を提供し、平和と正義を愛する人材の育成に取り組んできました。こうした功績に対し2001年、庭野平和賞が贈られました。
今回、新設されたマー・エリアス大学も同じ目標を掲げています。教育方針は『多様性の中の一致』。さまざまな違いを超えて理解し合い、共に未来を形成していく人材の育成に力が注がれます。
【エリアス・チャコール師のメッセージ】
立正佼成会会員の皆さまが平和と社会の相互理解のために貢献されている姿は、強い印象として私の胸に残っています。
私自身は政治家でもなければ、パレスチナ問題の解決に向け、政府間の紛争調停に取り組む専門家でもありません。ユダヤ人とパレスチナ人との間に対話をつくり出そうとする一市民です。
現在、マー・エリアス学園には、4500人の学生が在籍しています。10月21日には、イスラエル政府に認可された大学が開校し、新たに出発しました。さらに、庭野平和賞を受賞した際に副賞として頂いた賞金で、かねてから構想していた講堂を建設することができました。イスラエル・パレスチナの若者の未来を担う、この建物を、私たちは親愛なる思いを込め「庭野平和講堂」とさせて頂きました。
私はパレスチナに生まれたアラブ人として、キリスト教社会の一員として、そしてイスラエル国籍を持つ者として、これら3つのアイデンティティーとどう向き合うか、真剣に考えてきました。
今回、開校した大学は、複雑に絡み合ったアイデンティティーが対立するものではなく、完全なる一致が可能であることを理解し、それぞれのアイデンティティーを認め合い、共存できる人々を育成する場として生まれました。イスラエル・パレスチナの地で、それぞれの民族や共同体が歴史的に培ってきた宗教を互いに尊重し、一つの国に住む「同じ市民」として共有の利益をつくり出していくことを目指しています。すべての子供たちの未来を、民族や宗教の違いを超えて協力し、共に考えていくことができる人を輩出していきたいと願っています。
会員の皆さまに、ぜひ一度、「庭野平和講堂」をご覧頂きたいと思っております。立正佼成会と私たちとの結びつきが今後とも、より一層強くなることを願ってやみません。
(2003.10.31記載)
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