News Archive

2004年06月05日 中央学研の「第13回講師研究会」が静岡市で開催

『住を考える――宗教空間のある家』をテーマに中央学術研究所主催の「第13回講師研究会」が6月5、6の両日、静岡市のホテルで行われました。同研究所の講師、客員研究員ほか、山野井克典理事長はじめ教団役職者ら60人が参加しました。

5日は、芥川賞作家で、ノンフィクション『「家をつくる」ということ』『家族を「する」家』などの著者である藤原智美氏が『家族の絆と住まい』と題し基調講演を行いました。藤原氏は、近年、携帯電話やパソコンなどの普及により、家族個々のコミュニケーションの幅が広がったために、家族が共に過ごす時間が減り、その意味合いも薄れていると指摘。「父親、母親、子供のどの立場から見ても、時代を追うごとに『家』の価値や魅力が低下している」と述べました。
そうした現状を踏まえた上で、家族との対話、思考の空間である家は人間の成長にとって不可欠であることを強調。「家のあり方を見つめ直すと共に、意識的に"家族"をする、つくるという姿勢が今、求められている」と述べました。
6日には、議長の櫻井徳太郎・駒澤大学名誉教授が『日本人にとってカミ・ホトケは何であったか――神棚と仏壇を中心として』と題し発題。日本の家庭には、伝統的に、神棚と仏壇のほかに「かまどの神」「寝間の神」など、各部屋ごとに神を祀る伝統があったことを紹介しました。その上で、「宗教的な空間を排除し、人々の『神仏のおかげさま』という意識を捨て去ることが、果たして進歩と言えるのか考え直す必要がある」と述べました。
発題を受けて行われた全体討議では、参加者から「家庭に宗教空間がつくれなくても、お盆や彼岸、母の日、父の日などを利用し、宗教的な要素を含み、家族が楽しめる儀礼を考えてみては」といった意見が出されました。

(2004.06.11記載)