庭野日鑛会長は6月29日から7月3日まで、佳重夫人と共に初めてメキシコを訪問しました。「第19回庭野平和賞」の受賞者であるサミュエル・ルイス・ガルシア師(カトリック、サンクリストバル・デ・ラス・カサス教区名誉司教)から招待を受けたもの。庭野平和賞の贈呈式以来、2年ぶりに再会したルイス師と親交を深めたほか、先住民(インディオ)の地位向上に取り組む現地諸宗教者やNGO(非政府機関)関係者、チアパス州のメキシコ先住民共同村の人々とも交流しました。庭野会長のメキシコ滞在中、ルイス師は全行程を同行しました。
ルイス師は、メキシコはじめ中南米での人権擁護活動に関わり、特に社会的、政治的、経済的に抑圧を受けてきた先住民の支援活動に生涯を賭してきました。人々から敬愛を込めて「貧しい人々のための司教」と呼ばれています。
また、先住民の独立・自治を目指してチアパス州で武装蜂起したサパティスタ民族解放軍(EZLN)とメキシコ政府間の紛争調停に尽力。暗殺を企てられながらも、誠実な活動を続け、世界的にも高い評価を得ました。ノーベル平和賞にも3度ノミネートされました。
庭野会長とは、平成14年、庭野平和賞を通して初めて出会い、記念対談では約1時間半にわたって意見交換。ルイス師は、「庭野総裁は私と非常に近い存在。共通の価値観が、すでに私たちを結びつけていた」と語っていました。
UUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)の総会参加、ロサンゼルス教会ご巡教などを終え、庭野会長は29日、メキシコシティーへ。空港では、ルイス師が直接出迎えました。市内のホテルでの歓迎夕食会(ルイス師主催)でルイス師は、2年ぶりの再会を喜び、「日本で心のこもった歓迎を受けたことに感謝したい」と述べました。庭野会長も今回の招待に謝意を伝えました。
翌30日には、メキシコシティーから空路、チアパス州のサンクリストバル・デ・ラス・カサスへ移動。同地は、人口の80%を先住民が占めます。ルイス師が35歳のころから40年にわたり教区司教を務めてきた「ホームグラウンド」です。
到着後、庭野会長は、ルイス師の後任として司教に就任したフェリペ・アリズメンディ師はじめ、現地の諸宗教リーダーら10人と市内のホテルで懇談。席上、フェリペ師は「ルイス師に庭野平和賞をお贈りくださったことで、人々の意識、先住民の尊厳が高められた」と感謝の言葉を述べました。
同日夕には、市内にある先住民を対象とした職業訓練校を訪れ、ルイス師と共に活動しているNGO諸団体代表10人とミーティング。約100人の同校生徒も参加しました。
ミーティングでは、先住民の地位向上に取り組む6団体の代表が、それぞれの活動を紹介。約2時間にわたって成果や課題点などを説明しました。最後にあいさつした庭野会長は、「困難な問題に対するNGOの方々の努力、取り組みを伺うことができ、大変感動しました。今日、お集まりのNGOの方々は、皆ルイス師と深い関係にあり、そのことからも庭野平和賞をお贈りできたことを光栄に思います」と述べました。
7月1日には、サンクリストバル・デ・ラス・カサスから約90キロ離れたオコシンゴを訪れ、先住民の共同村である「ヌエヴォ・ジェルサレム」(「新しいエルサレム」の意)を訪問しました。同共同村には、政府の抑圧に抵抗している人々(サパティスタ)が200世帯暮らしています。サパティスタは、「先住民の権利が保障される政府の実現」という共通目標を持ちますが、サパティスタ民族解放軍のように武力に訴えるグループと合法的手段で行動するグループに大別されます。同共同村の人々は後者です。
当日は、約400人の村人が、ルイス師、庭野会長を出迎えました。到着後、ギター、笛、太鼓による民族音楽が奏でられ、花火が上がる中を丘の上の教会まで行進。全員が教会内に集って交流会が開かれ、ルイス師、庭野会長のあいさつに次ぎ、カトリック教会の現地リーダー5人、同共同村の役員2人による活動の報告などが行われました。
ルイス師は、今回、庭野会長がチアパス州を訪れたことについて、「遠く日本から訪ねてきてくださったことの意味を、チアパスの人々はしっかり受けとめているだろう。心から感謝したい」と語りました。
(2004.07.09記載)
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