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2004年07月03日 香港で開催されたWCC「キリスト教・上座部仏教指導者による対話会議」を一食平和基金が支援

7月3日から6日まで、香港の道風山キリスト教センターでWCC(世界教会協議会)とCCA(アジアキリスト教会議)の共催による「キリスト教・上座部仏教指導者による対話会議」が開催され、WCCの要請を受け、立正佼成会から神谷昌道・外務部次長が参加しました。同会議の開催費として、立正佼成会一食平和基金から1万4000スイスフラン(約125万円)が支援されました。

今会議は、キリスト教のプロテスタントとオーソドックス教会を中心とした世界組織であるWCCが、上座部仏教と対話する初めての機会となりました。『宗教多様性の文化と共同体の調和に向けて』をテーマとした会議には、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、スリランカ、タイ各国のキリスト教、上座部仏教の指導者、ハンス・ウコ博士(WCC諸宗教対話局長)はじめWCC、CCAの関係者ら合わせて43人が出席しました。
東南アジア諸国の中心的宗教である上座部仏教と同地域に伝道という形で普及したキリスト教の間には、昨今、改宗や宗教の多様性に対する不寛容といった問題が生じつつあります。会議は、キリスト教と仏教の対話を促進し、共通の関心事を洗い出すと共に、平和・和解・共生の場を提供し、将来に向けた協力の方策を見いだすことが目的とされました。
基調講演、全体会議、グループ討議などが行われ、この中で参加者から各国の現状が報告されました。タイでは仏教を国教としながらも憲法で信教の自由が認められていること、バングラデシュではムスリムにより仏教徒や先住民が抑圧されていることなども紹介されました。また、最終日には、サミュエル・コビアWCC総幹事がスピーチを行いました。
神谷次長は、基調講演の進行役を務めたほか、全体会議で仏教徒の立場から「正義」の概念について問題を提起しました。帰国後、同会議に参加した感想を次のように語りました。「外務部諸宗教対話グループでは現在、仏教間の対話を進めており、今回特に上座部仏教の現状やその深い霊性を知り、交流を図ることができた意味はとても大きいと考えます。私たちは常々、庭野会長から、世界の平和を創出するために仏教的な智慧が大切であると教えて頂いていますが、今会議を通じて、仏教間の対話を進め、仏教の叡智を広めていくことが世界から求められていると、あらためて認識させて頂きました。今後も、会員の皆さんのご理解とご協力を頂きながら、上座部仏教を含めた仏教徒間のパートナーシップを国内外で築き、仏教の智慧のメッセージを発信していくことに尽力していきたいと願っています」。

(2004.07.16記載)