中央学術研究所主催による「第5回学術研究大会」が11月7日午後、行学園とセレニティホールなどで行われ、同研究所講師や研究員、教団関係者ら90人が参加しました。
第1部は、同研究所所員、教団職員ら9人がそれぞれ研究成果を発表。その内容は庭野開祖に関する研究をはじめ、法華経の翻訳やイスラームのクルアーンに関するもの、日本政府の自然災害への対応、臓器移植など多岐にわたりました。
第2部はセレニティーホールで『先祖供養と家族』をテーマに森岡清美・成城大学名誉教授が特別講演しました。
その中で、森岡氏は、先祖供養が生まれた背景について、「家族の死を悼む『死者供養』が後の世代に継承、累積されていく過程で、死者が先祖となり、先祖供養となった」と説明。先祖供養には「家」の存在が不可欠であることを指摘しました。
また、先祖供養には、「家系の初代への崇拝行為」と、生前に愛情を注いでくれた「物故近親者への敬愛や感謝の行為」の二通りの考え方があることを解説。武士社会などには、家系の初代を神として崇拝する行為も見られたが、現在は核家族化が進み、後者の物故近親者への敬愛が先祖供養の原型となっていると述べました。
このあと、少子高齢化、個人化が進んだ1970年以降の先祖供養の変化に言及。病気や貧しさなどで高齢まで生きることが難しかった時代の先祖供養は「慰霊鎮魂」の意味が強かったが、平均寿命が大幅に延びたことで、死者に尊敬や感謝を込める「記念追憶」の儀式として行われるようになったと強調しました。一方で、少子化、個人化は家族のあり方を変え、先祖供養の意義も薄らいでいるとも指摘しました。
続いて行われた質疑応答では、「いのちのつながりを確認する行為として先祖供養があるのではないか」との意見をもとに、議論が交わされました。
(2004.11.12記載)
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