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2004年11月28日 奈良県宗教者フォーラムが開催される

『宗教者のめざすもの』をテーマに「第1回奈良県宗教者フォーラム」が11月28日、奈良市の東大寺金鐘会館で開催され、奈良県内の宗教代表者ら35人が参加しました。奈良の主要な宗教宗派が一堂に会するのは初めてのことです。参加者は宗教の垣根を超え、現代社会に対する宗教者の役割を模索しました。フォーラム開催にあたっては、本会奈良教会も教団間の調整役として尽力しまし。会場では、奈良教会の会員が天理教本部スタッフと共に案内や進行役を務め、フォーラムの運営を陰から支えました。

参加したのは、東大寺、薬師寺、法隆寺、興福寺、唐招提寺、長谷寺、大神神社、橿原神宮、日本基督教団、天理教、パーフェクト リバティー教団、本会奈良教会など20の宗教宗派です。これまで奈良の宗教者が個別に交流することはあっても、1つに集まる組織や場がありませんでした。世界各地で戦争や紛争が頻発し、国内でも凶悪な事件が多発する中、今年8月、「宗教者が連帯して和の精神をアピールできないか」と奈良教会が県内の宗教者に働きかけた結果、多くの賛同が得られ、フォーラムの開催が実現しました。
フォーラムでは、森本公誠・東大寺別当(華厳宗管長)が『地球現代における仏教の意義――イスラム教への理解』と題して基調発題を行いました。森本別当は、「物事を善悪という二元的、対立的にとらえることから争いが生じる」とした上で、仏教の「空」の思想を紹介しました。その上で、「極端に偏らず物事の本質を追求する仏教の智慧が、報復には報復という現実世界の構図の中で大きな意義を持つのではないか」と述べました。
続いて、荒川公男・奈良教会長をコーディネーターに、安田暎胤・薬師寺管主、鈴木寛治・大神神社宮司、飯降政彦・天理教表統領、木ノ脇悦郎・日本基督教団西大和教会協力牧師の4人が、『宗教者のめざすもの』をテーマにパネルディスカッションを行いました。この中で、パネリストから、「殺さない、盗まない、分け与える、真実を語るなど、各宗教に共通する教えをもとに、現実の諸問題に対処する中で宗教者の連帯も可能なのではないか」「それぞれの信仰を深める一方で、独善的になるのを防ぐためにも常に自己を客観的に見つめる視座を忘れてはいけない」「人間には必ず祈る心があり、それを周りの人、国、世界の平和を祈る心まで深めていくのが宗教者の役割。特に家庭の中で祈りの心を育むのが重要」といった意見が出されました。
フォーラム終了後、実行委員長の北河原公敬・東大寺執事長は、「奈良の宗教者がこうして一堂に会するのは画期的なこと。今日を出発点に、今後もお互いの信仰を尊重しながら信頼を深め合い、人々に安らぎを与えられるよう、奈良の地から平和の光を発信していきたい」と語りました。
同フォーラムは、来年以降も開催される予定です。

(2004.12.03記載)