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2005年03月24日 国際宗教学宗教史会議に庭野会長ら出席

『宗教――相克と平和』を総合テーマにIAHR(国際宗教学宗教史会議)世界大会が3月24日から30日まで東京・港区のホテルで行われました。開会式には日本宗教連盟理事長として庭野日鑛会長が出席。大会期間中のプログラムには、本会から山野井克典理事長はじめ教団役職者らが参加しました。IAHRは、すべての大陸にわたる39の国・地域にある宗教関係の学会が加盟する国際学会。世界大会は5年に1度開催され、東京大会は1958年以来、2度目の開催となります。今大会には各国の宗教研究者ら1700人が参加し、公開シンポジウムや全体会議、学術プログラムなど約350の学術セッションが行われました。本会からは篠崎友伸・学林学長らが学術プログラムのパネリストとして出席。WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会、新宗連(新日本宗教団体連合会)も学術プログラムに参画しました。なお、開催に際し、本会は財的支援を行うと共に、第二団参会館で各国参加者の宿泊を受け入れました。同大会で行われた本会と関係のある主な学術セッションの内容を紹介します。

《学術プログラム『法華経と平和』(25日)》
本会から篠崎友伸・学林学長と学林本科生の大澤身和子さん=東京大学大学院博士課程=がパネリストとして参加しました。このほか、菅野博史・創価大学教授が出席し、本会IBC国際アドバイザーのジーン・リーブス博士(ミードビル・ロンバード神学大学院元学長)がコーディネーターを務めました。
『庭野日敬師の平和観と法華経』と題した発表の中で篠崎学長は、庭野開祖にとって「平和」とは「涅槃」であり、調和を意味していたと指摘。一乗の教えから「宗教の本義は一つ」「万教同根」と捉え、宗教協力に尽力したことに言及し、「庭野師は自己と他者が一つであって、互いに関連しているとの世界観を持っていた」と強調すると共に、諸宗教対話を推進していく上で常不軽菩薩の姿勢を自身の中核にしたと力説しました。
続いて、大澤氏は『賢治童話と宗教世界』と題して発表。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に触れ、法華経を信奉していた賢治が宗教世界や信仰を直接的に表現しようとした一方で、親しみやすい物語にするために何度も書き換えた事実を紹介。「童話を通して、現実世界の彼方にある真実の世界に私たちを誘おうとしました。創造力を生かして現実世界の意味を理解しようとしたのです。賢治にとって童話創作は宗教活動だったのです」と述べました。

《学術プログラム『WCRPの過去・現在・未来』(26日)》
WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会平和研究所のメンバーである奈良康明・駒澤大学総長、山田經三・上智大学名誉教授=イエズス会神父、佐藤純一・国際メタテクニカテクノロジー研究センター所長をパネリストに、パネルディスカッションが行われました。コーディネーターを眞田芳憲・中央大学教授が務めました。
同ディスカッションはWCRPの歩みを踏まえ、宗教協力の過去、現在、未来を検証し、宗教者に課せられた役割を考察しようとするものです。
奈良氏は大乗仏教と上座部仏教の相違を祈祷儀礼や戒律の面から説明し、「同じ人間として共感し合える時、真の相互理解が生まれる」と述べました。また、山田氏は平和をつくり出す宗教者の使命を「共生」にあるとした上で、そのための条件として「苦を共にし、理解とよい関係構築に努めること。さらに、責任と謙虚さが共生に必要不可欠」と示しました。一方、佐藤氏は科学技術の分野で「共創」(共につくる)の動きが見られると指摘。さらに、「宗教者と共同で祈り、願いを同じくしていくことが、今後の科学技術の根本的要件」と語りました。

《学術プログラム『宗教団体と国際協力活動』(27日)》
コーディネーターを廣橋隆・新宗教新聞編集長が務め、パネリストとして海上直士・秀明大学非常勤講師、田中元雄・金光教大崎教会副教会長、玉木衛・日本体育大学教授が参加しました。
海上氏は、新宗教系教団での国際協力活動の位置づけに関する発表の中で、黒住教と立正佼成会の活動事例に言及。本会会員の取り組む「一食を捧げる運動」「アフリカへ毛布をおくる運動」を紹介しました。また同運動の特質として、会員が実際にアフリカを訪れて配布活動を展開し、さらに得られた体験をサンガと共有する教育システムが構築されている点を高く評価しました。
会場からは「宗教団体としての活動を表明することで、社会的な認知や協力に限界が生まれる」「他者への奉仕(献身)なのか、布教(救済)なのか、境界線をはっきりさせることが重要」「宗教教団ならではの"活動"を模索すべきではないか」といった意見が上がりました。

(2005.04.01記載)