「アフリカ毛布ボランティア隊」(隊長=佐山貢一郎・西多摩教会長)の一行17人は2月6日から18日までエチオピアの最北部に位置するティグレ州を訪れ、配布活動を展開しました。現地NGO(非政府機関)「REST(ティグレ救援協会)」の協力のもと、高齢者や低所得者に6903枚の毛布を手渡し、「おくる側」の祈りや真心を届けました。現地の様子を紹介します。
首都アディスアベバからプロペラ機で2時間弱。配布活動の拠点となるメケレへに到着しました。隊員たちは、内戦犠牲者と飢饉の死者を追悼する慰霊塔で慰霊供養を行いました。強風吹き荒れる中、一行は硬いコンクリートの上に正座し、多くの御霊に慰霊の誠を捧げました。ある青年女子部員は、「悲惨な出来事を風化させてはいけない。地球上に生きる人々の共通の願いである平和を実現するため、これから誠心誠意、毛布を配らせて頂きます」と配布への決意を新たにしました。
1日目の配布地となるハウゼン地区に移動する道すがら、現地の子供たちが隊員たちに手を振りました。「ハロー」。初めて見る日本人に興奮気味の表情を見せました。
ハウゼン地区では、2400枚の毛布を手渡しました。「ダハンディハ(=こんにちは)」と声をかけながら、一人ひとりの肩に毛布をかけると、現地の人々は満面の笑顔や握手、ハグ(抱擁)でその喜びを表現しました。中には、他人の毛布と比べて自分の毛布の質がよくないと言って取り替えるよう訴える人もいました。隊員たちは〈毛布の質に差があるのは、非常に悲しい。今後は、できるだけ良いものをたくさん集めたい〉と心に誓いました。
2日目の配布地、ウクロ地区で、一行は16歳の少年と出会いました。彼は35キロの道のりを5時間かけて歩いてきました。父、母、兄、弟の5人家族だといいます。「日本の人たちが遠い国まで来てくれてうれしい。毛布は母に渡します」と笑顔を見せました。RESTのスタッフが言葉を添えます。「日本の毛布は高品質でありがたい。1枚の毛布を家族全員で使うこともあります。1枚の毛布の尊さは計り知れず、エチオピアの人たちを支える大きな力です」。この言葉は隊員たちの心に響きました。
「今日は人生で一番うれしい日です。日本の皆さんにこの感謝の気持ちを伝えてください」。40代後半の目の不自由な男性が、そう繰り返しました。1枚の毛布が、生涯で一番うれしい日をつくったのです。
4カ所、延べ11回の配布活動で、一行は6903人との出会いを得ました。その一つひとつが、隊員たちの胸に刻まれ、一人ひとりの幸せを願う祈りになりました。「セラム(平和)」――配布地にはいつもこの言葉が響き、固く手を握り合う隊員と現地の人々の姿がありました。
(2006.03.03記載)
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