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2006年02月21日 「第23回庭野平和賞」受賞者発表「ラバイズ・フォー・ヒューマンライツ」に

第23回庭野平和賞」の受賞者(団体)がイスラエルの人権擁護団体「ラバイズ・フォー・ヒューマンライツ」(RHR=「人権のためのラビたち」の意)に決定しました。庭野平和財団(庭野日鑛総裁、庭野欽司郎理事長)は2月21日、本会京都教会で記者発表会を開き、席上、庭野理事長が発表しました。RHRはユダヤ教聖職者「ラビ」たちの有志によって設立されました。隣人への愛・正義・慈悲を求めるユダヤ教の教えに基づき、パレスチナ人の人権問題を中心に宗教や民族、性別による差別を解消し、平和実現に取り組んできました。現在はユダヤ教の各派から130人を超えるラビと神学生が中核となり、イスラエル市民のボランティアと共に諸宗教対話や社会福祉、教育啓発などの活動を続けています。贈呈式は5月11日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、庭野総裁から賞状、副賞として顕彰メダル、賞金2000万円が贈られます。席上、受賞団体メンバーによる記念講演も予定されています。

庭野平和賞は、宗教的精神に基づいて宗教協力を推進し、宗教協力を通じて世界平和の実現に顕著な功績を残した個人・団体に贈られます。今回は世界125カ国、約800人の識者に推薦を依頼し、「庭野平和賞委員会」(各国で宗教協力や平和活動に取り組む11人の宗教者)で厳正な審査を行い、決定しました。
RHRは1988年、ラビの有志によって設立されました。前年末にイスラエルでパレスチナ人による大規模な抵抗運動「インティファーダ」が起き、それに対するイスラエル軍のパレスチナ人への弾圧行為や深刻な人権侵害が設立のきっかけとなりました。"敵"扱いされている罪なき人々の苦悩に対し、国内の多くの宗教指導者はじめ市民が無関心であることへの反発が根底にあったとされます。
以後、「すべての人間の尊厳」というユダヤ教の教えの根幹を組織の基盤に据え、パレスチナ人が土地の権利や移動の自由を奪われ、保健衛生や教育機会など生活の制限を強いられていることを非難。パレスチナ人の人権問題に焦点をあてて取り組むとともに、外国人労働者やエチオピア系ユダヤ人の権利の回復、女性の地位向上、社会的弱者の救済にあたりました。さらに、民族や宗教、出身地、性別を問わず、あらゆる人々の権利と尊厳を保障する人権規定の制定を訴えてきました。
RHRは人権侵害の防止に取り組むと同時に、「正義と自由を推進し、差別や非人間的行為に対する運動を通してラビの良心の声になる」ことを目標に掲げてきました。国内に国家主義的なユダヤ教の解釈が広まる中、「真のユダヤ教の伝統とは、異邦人や貧しい人々の側に立つことだ」と主張し、正統な伝統である人道主義の教えを市民に広めることを大きな任務としています。
彼らの行動は、「隣人への愛・正義・慈悲を求めるユダヤ教の教えに従うことが、そこに住むすべての人々により大きな治安と安全をもたらす」という宗教的信念から生じています。あらゆる人間の内に「神」を見るユダヤ教の教えを宗教者、非宗教者の双方にあらためて気づいてもらい、それを証明しようと努力してきました。
設立以来、RHRにはユダヤ教の改革派、正統派、保守派、再建派から宗派の違いを超えて130人以上のラビとその神学生たちが名を連ね、多くのイスラエル市民がボランティアとして活動を支えています。現在は、「諸宗教対話」「教育」「非暴力フィールドワーク」「法的活動」の4分野を中心にさまざまな活動を行っています。
イスラエル・パレスチナ問題では宗教間対立が一つの要因と言われる中で、RHRは「諸宗教対話」に力を注いできました。和平に向けたユダヤ教とイスラーム、キリスト教の指導者による共同宣言を起草したほか、米国の長老派教会との対話を促進。ユダヤ教とイスラームの学者による教員のための人権トレーニング・セッションを実施し、相互の理解を深めてきました。特に、女性による対話はプログラムの重要な役割を果たしています。
「教育」では、人権イェシヴァ(神学校)を通じて、国内の大学生に人権に関する学習とボランティアの機会を提供し、人権意識の向上に尽力。宗教学校の学生ほか、一般の学生、アラブ系学校の学生を対象に人権セミナーを実施してきました。
「非暴力フィールドワーク」では、破壊された住宅の再建に取り組んでいます。また、パレスチナ人たちの農地所有やオリーブなどの作物の栽培、収穫、オリーブオイルを市場に出すなどの支援を展開。これまで、オリーブなど1万本を超える樹木がパレスチナ人の土地に植えられてきました。一方で、パレスチナ人による自爆攻撃などで犠牲となったイスラエル市民やその家族に対しても財政支援を行うほか、占領地域に住むアラブ人や移民労働者、年季契約の労働者など社会的弱者への救済も行っています。
近年は「法的活動」に力を入れ、不平等な立場に置かれたパレスチナ人のために建築認可に関する政策の改正を求める活動に着手。軍部に対しては、パレスチナ人が自らの土地を使用する権利を認めるよう法的手段に訴え、高等裁判所で勝訴しました。

(2006.02.24記載)