本会も加盟する「特定非営利活動法人ジェン」が昨年6月からアフガニスタンの難民・国内避難民の支援活動としてパルワン州で行ってきた「帰還民支援総合事業」が、この6月で当初の計画を終え、一区切りを迎えます。現地の状況とこれまでの事業内容を紹介します。
ジェンが支援するパルワン州は、内戦中、タリバン軍と北部同盟の間で激戦が繰り広げられた土地で、住民の大半が近隣諸国に避難しました。2002年から徐々に帰還が始まりましたが、建物は壊され、人々が生活できる状態ではありませんでした。
一時帰国中の玉利清隆・カブール事務所長の報告では、現在、多くの帰還民が収入を求め、カブールなど都市に流出しています。ジェンでは「住居再建」「学校建設」「井戸掘削」の3つの事業を柱に、帰還民再定住支援活動を進めています。
住居再建事業としては、地元住民らと協力し、250軒の住居を支援しました。また、日照りの影響で水不足が深刻化しているチャリカ地区では、昨年8月より井戸掘削事業を行っています。同事業では現地の行政や住民を交え、井戸管理維持委員会を設立。住民たちで井戸の管理を行えるよう話し合いを進めています。
学校建設事業では今年3月、パルワン州のシワに女子校が完成し、約400人が登校しています。同州のウーランでも共学校の建設が進んでいます。また、今年の2月にはカブール市内で、貧困層の女性を対象に識字教育を開始。同地区は教育への関心が高く、予定した定員の倍の約170人が参加しています。
月に一度、パルワン州内で支援活動を展開する地元のNGOや行政、軍の関係者と会議を開き、事業報告や情報交換を行っています。他の地区に住む住民の状況や要望を共有し、協力し合うことで、より良い活動が展開されているといいます。
玉利事務所長は、「今後は、支援の手が届きやすい都市部だけでなく、地方にも活動範囲を広げたい。今まで以上に政府や国連と話し合い、支援の必要性を訴えていかなければと思います」と意気込みを語りました。
(2006.06.02記載)
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