News Archive

2006年10月16日 大本で「第5回教団付置研究所懇話会」開催

『宗教者である研究者が集える領域づくり』をテーマに「第5回教団付置研究所懇話会」が10月16日、京都・亀岡市の大本・万祥殿で行われました。19の研究所から100人が参加。本会からは中央学術研究所の今井克昌所長、掛場一彰・教学委員長ら5人が出席しました。当日は、代表者3人による研究発表のほか、総会、懇親会が行われ、教団の教義体系や、宗教界が抱える現代の問題などについて意見を交わしました。

教団付置研究所懇話会は、各教団に設置された研究機関が宗教、宗派の違いを超え、情報交換や研究協力の可能性を探っていこうと5年前に発足しました。本会付属の中央学術研究所は発足当初から参加しています。年に1回懇話会が開催されるほか、生命倫理研究部会が発足するなど専門的な取り組みも始まっています。
当日の懇話会では冒頭、大本の廣瀬靜水総長(大本教学研鑽所所長)があいさつしました。続いて『「信心(宗教的実践)」と「教学(宗教的理論)』と題して中山身語正宗教学研究所の河野乘慶所長が研究発表。教団の歩みに触れ、「信心」と「教学」がどのように体系化されてきたかを説明しました。
午後には、オリエンス宗教研究所のペテロ・バーゲルマンス研究員が『諸宗教の神秘主義的儀式――キリスト教と密教の比較』をテーマに、天台宗総合研究センターの村上興匡研究員が『寺院がおかれている現代的問題への取り組み』と題して研究を発表しました。
バーゲルマンス氏は、神の恩恵を人間に与えるキリスト教の儀式「サクラメント」(カトリックで「秘跡」)を取り上げ、トマス・アクィナスの秘跡論と空海の三密論とを比較検討。諸宗教の儀礼の本質は「神秘主義的な儀式」にあり、「三位一体の構造をなしている」と主張しました。また村上氏は世論調査から日本人の信仰心が弱まり、「宗教離れ」が進む状況を説明。現代のニーズに対応した寺院づくり、僧侶の育成など天台宗の取り組みを紹介しました。
総会では、研究部会の活動報告に続き、中央学術研究所の今井所長が第8回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会での成果を説明しました。

(2006.11.02記載)