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2007年09月06日 庭野平和賞委員会が第1回シンポジウムを開催

庭野平和賞委員会主催による第1回シンポジウムが9月6日、東京・港区の国際文化会館で開催され約70人が参加しました。テーマは『Religions for Peace?』。庭野平和賞(庭野平和財団)の受賞者選考を担う庭野平和賞委員会(委員長=グナール・スタルセット・ノルウェー国教会名誉主教)のメンバーがパネリストとなり、平和をめぐる宗教の役割について意見を交し合いました。また、フロア参加者との質疑応答も行われました。本会から庭野平和財団総裁で同委員会メンバーでもある庭野日鑛会長が出席し、歓迎のあいさつを述べました。

庭野平和財団は、平成14年に「庭野平和賞第20回記念事業」として、宗教を基盤とした平和活動に焦点を当てた庭野平和賞の意義を、国内外により広く訴えていくことを目的に庭野平和賞委員会を創立。第21回から、宗教を背景に世界各地で活動を展開する同委員会のメンバーによって、庭野平和賞の受賞者選考が行われてきました。今回、同委員会の東京での開催に合わせて、初のシンポジウムが企画されました。テーマは『Religions for Peace?』。すべての宗教が共有する普遍的な平和のコンセプト、宗教による平和構築への貢献の可能性、紛争解決の障害としての宗教などといった問題に対して、それぞれの立場から意見が述べられました。
冒頭、庭野会長が歓迎のあいさつに立ちました。庭野会長は庭野平和賞受賞者の功績に敬意を表しながら、「宗教協力は、私ども宗教者に、出会いと対話の機会をもたらし、相互に発見・啓発し、ときには自らを省みて、共に向上させる力を持っています。庭野平和賞も、そこに大きな存在意義があると申せます」と述べました。また、矛盾と対立を解決し、大きな調和に導くためには、宗我へのとらわれや他宗教の非を一方的に指摘するような姿勢はあってはならないと指摘。第1回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会の宣言文を引用し、宗教者の内省の大切さを強調しました。
さらに、「世界各地に広がる紛争やテロ、飢餓や抑圧、環境破壊などの原因を探るとき、そこに宗教者の努力不足を見いだすことだけが内省ではありません。『宗教者自身が、宗教の一番の根幹を忘れているのではないか。ないがしろにしているのではないか」――そこに気づくことが真の内省であり、宗教者同士が常に謙虚に心を通わせ、平和の実現に向け、共に歩む根本になると信ずるものであります」と述べ、相対的・対立的な価値観を超えた宗教的な智慧に基づく共同行動が未来を切り拓くと訴えました。
引き続き、グナール・スタルセット同委員会委員長(ノルウェー国教会名誉主教)がテーマに沿って発題を行いました。スタルセット師は宗教者自らが本物の宗教、真理とは何かを問い直し、これまでの歴史を振り返り、自己批判をしていくことが必要だと強調。宗教と世俗の関係、宗教が国際外交で果たす役割などに触れながら、宗教間対話、ネットワークの可能性なども語りました。
パネル・ディスカッションは、ローザ・オトゥンバイェヴァ氏(キルギス、イスラーム、同国前外務大臣、政治団体アサバ指導者)、プラマハ・ブーンチャイ・ドゥージェイ師(タイ、仏教、マハチュラロンコーン仏教大学講師)、クリスティーナ・リー師(イタリア、キリスト教、フォコラーレ運動本部諸宗教対話センター代表)、イルファン・アーメッド・カーン博士(米国、イスラーム、諸宗教対話世界イスラム協議会会長)、オー・ジェイ・シク博士(韓国、キリスト教、アジア研究所所長)の同委員会の委員5人と戸松義晴師(日本、仏教、日本浄土宗総合研究所専任研究員)をパネリストに行われました。同委員のドゥドゥ・ディエン氏(セネガル、イスラーム、国連人権委員会特別報告者)が議長を務めました。
ディエン氏は、導入で「現在の状況に焦点を当てる」「宗教が問題の一部であり、答えの一部であることを考慮する」「宗教と平和の関係を批判的に吟味する」などといった議論のポイントを提示。これを受けて各パネリストがそれぞれの立場から発言しました。国や地域の状況と歴史的な宗教事情、宗教とその解釈の悪用による冒涜行為、宗教対話・協力による成果、宗教的信念と政治的イデオロギーなどさまざまな論点で意見が述べられ、現実の課題に取り組む宗教者の姿勢が示されました。
このあと、フロア参加者から、「宗教者としてのローカルレベルでの実践とはどのようなものか」「自らの心の中に平安を築くためにはどうしたらよいか」などの質問が寄せられ、パネリストが回答しました。
最後に、庭野会長が閉会のスピーチを行いました。

(2007.09.14記載)