内戦が続くスリランカで4月28日、WCRP(世界宗教者平和会議)の国内組織「IRC」(諸宗教評議会)となる「スリランカ諸宗教評議会」が設立されました。これはWCRP国際委員会と国内の宗教指導者が交渉を重ね、準備を進めてきたものです。同日、中部の都市・キャンディの州知事公邸で行われた「発会式」には、同国の仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラームの宗教指導者13人はじめ、同国際委からカンボジア仏教の最高指導者であるテップ・ボーン師、インドネシア・イスラーム共同体「ムハマディア」代表でACRP(アジア宗教者平和会議)会長のディン・シャムスーディン師ら約150人が参加。日本からは、同国際委の酒井教雄本会参務=同委員会評議員=が出席しました。同評議会は、諸宗教間の対話を通し、内戦の早期終結と和平構築に向けた取り組みを進めていきます。
スリランカでは1970年代、国内少数派のタミル人が分離独立を求めて「LTTE」(タミル・イーラム解放のトラ)を組織し、以来、政府軍との間で武力衝突が頻発。2002年に停戦合意がなされたが、今年1月には協定が破棄され、再び内戦が激化しました。
こうした状況の中、WCRP国際委では同国の宗教指導者やWCRP日本委などと連携を図り、内戦の解決に向け、さまざまな取り組みを展開してきました。02年には本会の仲介により、同国仏教四法王が来日し、連名による平和共同宣言「東京声明」が発表されました。一昨年の第8回WCRP世界大会(京都)では、同国の諸宗教指導者が日本政府スリランカ問題担当特別代表(当時)の明石康氏と会談。昨年末には、同国・ジャフナで「世界諸宗教指導者平和サミット」を開催するなど、和平合意の道筋を探ってきました。
発会式の席上、あいさつに立った「NPC」(国内平和協議会)のジェハン・ペレラ理事は同評議会のメンバー19人に触れ、「これまで国内で宗教協力の試みはあったが、今回ほど国内主要四宗教の最高指導者が顔をそろえることはなかった」と述べ、諸宗教対話の一層の推進に期待を寄せました。
続いて酒井参務があいさつに立ち、「立正佼成会一食(いちじき)平和基金」を通し、貯水池を建設するなど本会のこれまでの同国に対する支援を紹介。さらに法句経の一節を引用し、「軍事的な手法によらず、忍耐強い対話による解決を願ってやみません」と語りました。今後、同評議会は、国内の和平構築と諸宗教間の対話促進に取り組んでいきます。
なお2日、参加者はコロンボでマヒンダ・ラージャパクサ大統領の首席顧問を務めるバジル・ラージャパクサ氏はじめ、元首相のラニル・ウィクラマシンハ統一国民党党首らとそれぞれ会談。同評議会設立の意義を説明し、紛争和解に向け、理解と協力を要請しました。
(2008.05.16記載)
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