庭野日鑛WCRP日本委員会理事長をはじめ宮本けいし同事務総長、パレスチナのイスラーム法最高裁判所長官を務めるシェイク・タイセール・ラジャブ・アル・タミーミ師ら「世界宗教者会議」の正式参加者の代表14人が7月4日、東京・千代田区の首相官邸を訪れ、福田康夫首相と会談しました。この会談は同会議での議論内容を報告し、宗教者の提言がG8サミットに取り入れられるよう要望するものです。席上、同会議で採択された「提言書」が庭野理事長から福田首相に手渡されました。
会談の冒頭、あいさつに立った庭野理事長は、世界宗教者会議の後援として環境省の協力が得られたことや、4月と5月の勉強会で高村正彦外相、鴨下一郎環境相による講演が行われたことに謝意を表明。同会議の経過を報告し、提言書を福田首相に手渡しました。
これに対し、福田首相は「今、世界で起こっている大きな問題は、一つの国でも、政治の力だけでも解決することができない大きな課題」との認識を示し、「世界の多くの人が心を一つにすること、意見を共有することが大事」と指摘しました。
また、問題の解決には、宗教者の協力が不可欠と強調。安全保障、テロリズムに加え、特に核廃絶に関しては「力を競う政治・外交だけでは解決できない問題」であり、国連ミレニアム開発目標、気候変動の環境問題についても、宗教者の「叡智(えいち)を結集して頂くことが大事」と述べました。その上で、今回の提言が「私どもの考えていることと同じ方向にある」として宗教者の一層の協力を要請。同時に、提言書の内容をG8の首脳に伝える意向を示しました。
このあと、海外の宗教者を代表してナイジェリアのジョン・オナイエケン師=カトリック大司教=が、2006年のロシア、07年のドイツで開催されたG8サミットに合わせて、モスクワとケルンで諸宗教者の会議が行われたことなど、今会議までの経緯を紹介。平和構築の新しい概念である「共有される安全保障」の重要性に触れ、諸問題の解決のために、政治指導者と協力していく意向を表し、「福田首相の熱意によって、G8の他の指導者にわれわれのメッセージを伝えて頂きたい」と要望しました。
最後に、同会議の実行委員長を務めた宮本WCRP日本委事務総長が、G8サミット直前の会談の実現に謝辞を述べ、各界との連携・協力を通した平和実現に向け決意を表明しました。
(2008.07.11記載)
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