10/20 【第7回ACRPが閉幕】
『アジアにおける平和の創造』をメーンテーマにフィリピン・マニラで10月17日から開催されていた第7回ACRP(アジア宗教者平和会議)大会が20日、『大会宣言』を採択して閉幕しました。大会にはアジア・太平洋地域の20カ国から正式代表、オブザーバーなど合わせて約400人の宗教者が出席。期間中、アジアの宗教的伝統に基づく和解や平和構築への取り組みなどの体験を共有した上で、各国の抱える喫緊の課題を踏まえ、「平和の創造」に向けた宗教者としての使命、具体的な行動のあり方について活発に議論を展開しました。立正佼成会からは庭野光祥次代会長はじめ6人の正式代表を含む約50人の会員が参加。光祥次代会長は、閉会式でACRP会長である庭野日鑛会長=WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会理事長=のメッセージを代読したほか、全体会議などに出席し、各国の宗教者とも親交を深めました。
◎会議3 アジアは世界人口の半数以上を抱えており、その経済的発展は世界の注目を集めています。一方、紛争や対立、緊張状態が続く国や地域が存在するほか、経済的不均衡、貧困、差別、人権侵害、環境破壊といった構造的暴力の拡大も懸念されます。大会ではこうした現状を踏まえ、アジアの豊かな宗教的伝統を再興し、諸宗教者の献身によって平和の創造・構築、紛争解決・防止を実現するための具体的な行動のあり方などを考察し、意見が交換されました。
メーンテーマ『アジアにおける平和の創造』をタイトルにした全体会議Ⅲでは、中国、スリランカ、日本、インドネシア、韓国の代表者らが登壇。各国での諸宗教者の協働に関する報告や現状の課題などが発表されました。日本はWCRP日本委員会事務総長の宮本けいし妙智會教団理事長が、今夏、同委員会が主催し、WCRP国際委員会の共催のもと開催された「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」などについて発表しました。
また、メーンテーマをもとに『共有される安全保障・紛争解決による平和の創造』『人間の権利及び平和教育による平和の創造』『共有される価値及び共同体の強化を通しての平和の創造』『持続可能な開発及び社会正義を通した平和の創造』『過去の癒(いや)し及び未来建設を通した平和の創造』の5つのテーマで、研究部会が設置されました。各部会では連日、活発に議論を展開。参加者はテーマに基づいた理念の共有を図り、具体的な施策などをまとめました。
最終日、大会を総括する『大会宣言』が満場一致で採択されました。
宣言文では、期間中の議論の内容を報告するとともに、参加者によって繰り返し確認された対話の重要性を強調。その上で、今後5年間の行動計画の一部として、教育機関と連携した対話センターの設立や核兵器廃絶、核不拡散に向けた政府への働きかけなど各国内委員会レベルで取り組む内容など、具体的な14の提言をまとめました。
大会事後プロジェクトとして、現在も紛争が続くミンダナオ島をはじめとするフィリピン国内の各地に諸宗教対話センターの設立が決定されました。また青年、女性の各カテゴリーでも、それぞれミンダナオの紛争による被害者に対する人道支援などが事後プロジェクトとして承認されました。
大会を締めくくる閉会式では、金星坤(キムスンゴン)事務総長(韓国)がACRP、WCRPに対する庭野日敬開祖、庭野会長の貢献に謝意を表し、「次世代のリーダー」と光祥次代会長を紹介しました。
登壇した光祥次代会長は、大会を通しての自らの学びを語り、庭野会長のメッセージを代読しました。
庭野会長はメッセージの中で、『「アジア」という言葉の語源は、「陽の昇る所」を意味するといわれます。そのアジアに生きる宗教者として、まず私どもから、世界を平和に導く、また世界が一つとなるような「光」を投げかけていく--それがACRPに課せられた大事な役割であると申せましょう』と表明。また、『宗教は、本来、主張したりしないもの、帰依していく純粋なものであります。宗教によっては表現が異なるとしても、根底には、共通する普遍の真理があるはずです。その真理に、純粋に帰依するとき、そこには、もはや対立はありません。真理に帰依する心、帰依する姿勢の中で、宗教者同士は自(おの)ずと一つになっているのです』と宗教者の協働に期待を寄せました。
庭野会長、ACRP共同会長に再任
なお、期間中、正式代表の投票により、ACRPの共同会長(6人制)が選出され、庭野会長が再任されました。また、事務総長には金星坤博士が再任、新たな実務議長としてディン・シャムスーディン博士(インドネシア)が選出されました。これまで実務議長を務めたミル・ナワズ・カーン・マルワット博士(パキスタン)は名誉会長に就任しました。
(2008.10.31記載)