◎庭野平和財団主催の「宗教団体の社会貢献活動をめぐる学習会」が3月25日に京都で、27日に東京でそれぞれ開催されました。同学習会は、昨年10月に同財団が実施した世論調査をもとに、宗教団体の社会貢献活動の認知度や評価、期待に加え、宗教活動としての意味合いを考察しようと企画されました。
25日、京都市国際交流会館で行われた学習会には、宗教者、各教団付置研究所の研究者ら約50人が参加しました。野口親一同財団専務理事のあいさつに続き、石井研士國學院大學教授が調査結果を報告。石井氏は『期待する宗教団体の行う社会貢献活動は』『参加してもよい宗教団体の実施する社会貢献活動は』など8項目にわたる世論調査の結果を分析した上で、「社会貢献活動を長いこと行っているにもかかわらず、『知らない』『期待しない』という人が30~40%います。この人たちにどうやって知ってもらい、評価して頂くかが大きな課題」と指摘しました。
このあと、金子昭天理大学おやさと研究所教授、小柴宣和金光教東京センター所長をパネリストにディスカッションを実施。石井氏がコーディネーターを務めました。
金子氏は、宗教団体が行う災害救援活動で、ボランティア活動は一定の評価があるものの、被災地では宗教的救済活動には批判的に受け取る人が多いことを報告。「日常性と宗教性を分ける人々の発想をどうすれば改善できるかを考えていくことが大切」と述べました。一方、小柴氏は収益至上主義などの過度な価値観がさまざまな社会問題を引き起こしていると指摘。「社会の一員である『人』を救済することが宗教本来の社会貢献活動」と強調した上で、金光教が行う平和集会などの取り組みを紹介しました。
27日、東京・杉並区の佼成図書館視聴覚ホールで行われた学習会には70人が参加。石井氏の基調発題後、パネルディスカッションが行われ、財団法人日本キリスト教婦人矯風会の川野安子副会長、稲場圭信神戸大学大学院准教授がパネリストとして登壇しました。
川野氏は、1886年に発足した矯風会が日本初の女性団体であり、婦人参政権のない時代から女性の地位向上に努めてきた歩みを説明。売春防止法や配偶者暴力防止法(DV防止法)の制定に向けた運動の経緯や、現在運営している女性保護のための福祉の取り組みを紹介しました。
「宗教と社会」学会にある「宗教の社会貢献活動研究プロジェクト」に携わる稲場氏は、社会における宗教団体の活動の認知度は低いが、地道な活動が長年続けられてきたと詳解しました。一方、宗教活動そのものの中に、人々の救済や心の癒やし、人材育成といった社会貢献があると強調。そうした面を「各宗教団体は社会に公表していくべきではないか」と訴えました。
(2009.4.3記載)
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