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2009年07月11日 新宗連青年会「ユースフォーラム2009」開催

新宗連青年会(新日本宗教青年会連盟)主催の「ユースフォーラム2009」が7月11、12の両日、北海道・登別市内のホテルで開催されました。立正佼成会をはじめ加盟8教団から172人が参加しました。 

同フォーラムは加盟教団の青年宗教者が新宗連青年会の諸活動への理解を深めるとともに、「世界平和の確立」「人類福祉の向上」を目指し、どのような行動をすべきかを探求するために82年から毎年行われています。各人が信仰の尊さを再確認し、互いを高め合うこともねらいとされています。
今回は北海道の先住民族で独自の言語、精神文化を有するアイヌ民族の人々との交流を柱に企画されました。特にアイヌの自然観や人間観につながる信仰を学ぶとともに、一人ひとりが自然の中で生かされている存在であることに感謝し、共に祈りを捧げることを目的としました。
11日、参加者は、アイヌ民族の約12%が暮らす白老町のアイヌ民族博物館「しらおいポロトコタン」(「大きな湖の村」の意)を訪問。湖のほとりに建てられたアイヌの伝統的な家屋「チセ」の中で、同博物館の村木美幸副館長による講演が行われました。
自身もアイヌである村木氏は、藍(あい)色の民族衣を身にまとい、かつてアイヌが生業としていた「狩猟」「漁労」などの手法をスライドなどを用いて解説。アイヌの食文化と関係が深い鮭(さけ)を「カムイチェ(神の魚)」と呼ぶことに触れながら、カムイ(神)とアイヌ(人間)の関係性や精神文化に言及しました。「私たちアイヌは、鮭自体を神、あるいは神が授けてくださったものと受け止めます。それは形あるすべてのものにカムイが宿っていると考えるからです。村人を養えるだけの食料を与えてくださる神に感謝する。一方、その感謝に応え、再び人々に食料を授けるのが神です。カムイとアイヌはもちつもたれつ。互いに尊び合う両者がいてこそ、世の中が成り立つというのがアイヌの考え方です」と述べました。
また、江戸時代の松前藩による北海道への進出と統治以降、「和人」への同化政策が推し進められる一方、現在まで根強い差別が存在することを説明。「現在、アイヌは国内に約2万3000人いると言われていますが、これは自身がアイヌであると認めた人の数字です。差別や偏見の中、自らがアイヌであることを公表できない人がいることも知っておいてください」と訴えました。
このあと、アイヌに伝わる伝統的な祈り、歌、踊りを体験するプログラム「ポロトコタンの夕べ」が行われました。村の長老がイナウと呼ばれる木幣を捧げ、祭祀の成功を神に祈ったあと、参加者の代表がアイヌの人々と共に囲炉裏端に座り、カムイノミ(祈り)を体験しました。
続いて、村の女性たちがムックリ(竹製の口琴)、トンコリ(アイヌの弦楽器)を演奏。イヨハイオチシ(即興歌)や、サロルンチカプリムセ(鶴の舞)なども披露されました。さらに、「サッチェプ」と呼ばれる鮭の薫製が紹介され、参加者は古くから伝わるアイヌの食文化の一端に触れました。
翌12日の朝、「世界の平和招来」「絶対非戦」を祈念する「教団別礼拝」のあと、プログラムを通した学びを日常生活でどのように生かすかを議論し合う「グループワーク」が実施されました。グループワークを終えた参加者は班ごとに登壇し、「感謝の気持ちを伝えるために『ありがとうノート』を作製し、一日一回以上は『ありがとう』と言える努力をする」「何事も感謝の心で受け止めるアイヌの方々を見習い、食前には必ず祈りを捧げ、人には笑顔と優しい言葉で接する」といったそれぞれの実践目標を発表しました。
フォーラムの参加者の一人は「近くに住みながら、アイヌ民族についてほとんど知らずにいた自分を恥ずかしく思いました。今回をきっかけに、すべての魂に感謝の祈りを捧げる姿勢を見習い、当たり前のことに感謝できる自分になりたいと思います」と話しました。また、別の参加者は「気恥ずかしさから、これまでなかなか人に感謝の気持ちを伝えられずにいました。けれど、気持ちは声に出して伝えるべきだと気づかせて頂きました。ささいなことにも『ありがとう』と素直に言えるように心がけます」と語りました。

(2009.7.17記載)