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2009年12月03日 「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」開催

東京・有楽町の東京国際フォーラムで12月3日、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会青年部会主催による「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」が開催され、WCRPに加盟する宗派・教団の青年リーダーはじめ国連機関や軍縮、開発問題に取り組む団体のメンバー、学者ら130人が参加しました。同サミットは、世界の軍縮と国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を目的としたWCRPの諸宗教青年ネットワーク主導による国際的な取り組み、「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」がスタートしたことを受け、行われたもの。同サミット開催にあたり、WCRP日本委員会理事長である庭野日鑛会長がメッセージを寄せました。

「ARMS DOWN!共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」は、現在140兆円にも上る世界の軍事費の10%を削減し、削減分を開発途上国の支援(MDGsの遂行)に充てることなどを国際社会に呼びかけるもの。世界全体で5000万人の署名を集め、国連機関や国連安全保障理事会常任理事国をはじめとする各国政府に提出する予定です。11月7日、コスタリカ・サンホセでの「WCRP国際青年宗教者サミット」の席上、同キャンペーンの発進式が行われ、同国のオスカル・アリアス・サンチェス大統領が最初の賛同者として署名用紙にサインし、キャンペーンが実質的にスタート。来年の10月2日(国内は9月25日)まで約1年にわたって世界中で展開されます。
3日、東京で開催された同日本委員会青年部会による「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」は、日本国内の発進式と位置付けられ、キャンペーンの意義や目的について理解を深め、日本の宗教者としての具体的な参画方法を議論することなどが目的に掲げられました。

サミットは「平和の祈り」で開会。同青年部会副幹事長の八坂憧憲・中山身語正宗青年本部長が開会あいさつに立ちました。八坂師は、2006年に広島と京都で開催された初の「WCRP青年世界大会」以降の諸宗教青年ネットワークの広がりや活動の充実などを紹介。キャンペーンの実施について、同大会で採択された『広島宣言』を具現するものと強調し、地球的緊急課題である『軍縮』と『開発』の二つのテーマに対し、青年宗教者が行動を起こす大切さを解説しました。
さらに、「軍備」は他者への「不信」の象徴であると語り、「『信』『信頼』というものを一番大切に考える私たち宗教者が、軍縮の問題に率先して取り組まなければいけない」とキャンペーンの意義を力説しました。
次いで、庭野理事長からのメッセージが、同青年部会幹事長の松本貢一本会青年本部長によって代読されました。
庭野理事長は、「いのちの尊厳が守られる社会・国・世界を目指し、世界の青年宗教者が、手を携えて行動しようとしておられることに、心より敬意を表し、またエールをおくりたいと思います」と青年の取り組みを称賛。法句経の一節を紹介しながら、「人間が、この世で一番大切なのは、自分自身であります。その愛(いと)しい自分であることが本当に分かれば、他の人もまた、自分ほど愛しいものはないと思っていることが分かってまいります」と述べ、自他のいのちを尊び、守っていく重要性を示しました。
また、キャンペーンの実施に対し、「そのいのちの輝きの結集そのものが、大きな成果を生み出すに違いありません。全(すべ)ての人の心に宿る善意、平和の願いを掘り起こす純粋な、宗教者の活動にして頂きたいと願っております」と期待を寄せました。

このあと、『世界の現状とその対応?自治体・国連機関・政界・世界の青年宗教者』『日本の青年宗教者の行動』をテーマに二つのセッションが行われました。また、日本独自の取り組みとして、キャンペーン期間中の毎月1日の正午、『祈りのことば』を唱和し、祈りを捧(ささ)げることが発表されました。
最後に松本幹事長があいさつを述べ、サミットは閉会しました。
3日、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会が主催し、東京国際フォーラムで行われた「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」では、世界の現状や「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」の意義について理解を深めることなどを目的に二つのセッションがもたれました。
「セッション1」では、『世界の現状とその対応?自治体・国連機関・政界・世界の青年宗教者?』と題してパネルディスカッションが実施されました。WCRP国際委員会事務局の杉野恭一事務次長をコーディネーターに、スティーブン・リーパー広島平和文化センター理事長(「平和市長会議」事務局長)、早水研日本ユニセフ協会専務理事、カテリーナ・ラゴッシーWCRP国際委青年・ネットワーク担当、藤末健三参議院議員の4人がパネリストを務めました。
リーパー氏は、来年5月、国連で開催される「核不拡散条約(NPT)再検討会議」について解説し、「人類は今、核兵器を廃絶するか、皆が持てるようにするかの大きな岐路に立っている」と強調しました。「人間は今、力の文明から愛の文明への卒業が必要だ」という広島で被爆し、核廃絶を訴えてきた森滝市郎氏の言葉を紹介。「今、その非暴力のメッセージを伝える時期が来た」と語り、宗教者が平和のために真剣に行動する重要性を訴えました。
続いて、日本ユニセフ協会の早水氏は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の8項目についてグラフなどを用いて詳述しました。「普遍的初等教育の達成」「乳幼児死亡率の削減」など、ユニセフの取り組みと密接な関係にあることを示しながら、昨年以来の経済危機や食糧価格の高騰により、開発途上国で貧困層が増加していると解説。グローバリゼーションの進んだ結果の負の産物であると、事態の深刻化を指摘しました。
WCRP国際委のラゴッシー氏は、キャンペーンの実施概要や各地域での現段階の行動計画などを説明。
最後に発言した藤末氏は、『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する』と記された日本国憲法の前文を紹介し、その実現に向け、皆がそれぞれの立場で行動する大切さを語りました。また、両親の戦争体験に触れながら、「痛みを知ったわれわれが、原爆の悲惨さを伝え、核兵器廃絶の意思を示さなくてはいけない」と述べ、青年の取り組みに期待を寄せました。
『日本の青年宗教者の行動』をテーマに掲げた「セッション2」では、冒頭、同青年部会幹事の村上泰教石鎚山真言宗総本山極楽寺教学部長がスピーチを行いました。
村上師はキャンペーン実施にあたり、日本独自の取り組みとして、毎月1日の正午に「祈りのことば」を唱和し、祈りを捧(ささ)げることを発表。また、キャンペーン遂行において、「世界を平和にしなくてはならないと、一人ひとりが意識を向けていくことが大切」と強調しました。さらに、「無関心こそが一番の問題です。一人ひとりがこのキャンペーンのリーダーであるという自覚に立ち、皆がさまざまな問題に関心を持てるよう、地域、家庭、職場で発言し、また行動していきましょう」と参加者に呼びかけました。
このあと、石川清哲本門法華宗僧侶、小林久美子フォコラーレ女子センター長、鈴木林太郎大本青年部長、新宗連青年会(新日本宗教青年会連盟)委員長の保積志弘大和教団嗣親の青年宗教者4人が登壇。「セッション1」での学びや感想、キャンペーンへの抱負をそれぞれ発表しました。

(2009.12.11記載)